■黒塚

■演出・美術:杉原邦生,監修:木ノ下裕一,劇団:木ノ下歌舞伎
■こまばアゴラ劇場,2015.3.11-22
■木材で組み合わせた舞台(約3mx8m)を挟み両側に客席がある。 巡礼山伏はハイキング衣装の現代人である。 現代口語で話す。 しかし老婆は違う。 見窄らしい着物姿で言葉遣いも古さと新しさが混ざっていて掴みどころが無い。 時間差のある山伏たちと老婆の遣り取りが面白い。
老婆は山伏たちに約束を破られ死体を見られてしまう。 ここで老婆が鬼婆になった由来が劇中劇として語られる。 老婆はむかし公家に乳母奉公していたが病気の姫に胎児の生き胆を与えるため妊婦を殺してしまう。 ・・妊婦は老婆の子であった! ズズッと深みにはまる場面である。 そして老婆は鬼婆になり踊り狂う。 
由来話で幕が下りるかとみていたら鬼婆を仕留める続きがあった。 思い切って省いてしまったほうがスッキリするだろう。 終わりそうで終わらないダラダラした流れに感じた。 あと山伏たちと老婆の時代差をはっきりさせたほうが面白味が出るのではないか? 老婆の話し方に現代口語があり不思議世界が遠のいてしまった。 共時的表現の試みのようだが実験段階の舞台にみえた。
*劇場サイト、http://www.komaba-agora.com/play/1109