■シーザーの戦略的な孤独

作・演出:矢内原美邦,出演:ミクニヤナイハラプロジェクト
吉祥寺シアタ,2014.1.30-2.2
激しい動きと速い喋りが続いたあと、役者三人が椅子に座る場面があった。 この時靄が晴れたようだった。 身体の動きを伴わない台詞はこんなにもリズムがあり脳裏に響くのか! 俄然面白くなる。
その後再び動作が激しくなっていったがこの差の違いに驚く。 そして「前向き!タイモン」が何故つまらなかったのかこの時わかった! 役者間での余裕の無い激しい身体動作と早口が言葉を壊してしまっていたのだ。
物語は近未来にみえる。 観ながらいろいろな作品を思い出してしまった。 「幼年期の終わり」「ストーカー」「燕のいる駅」・・、SFテーマは<新人類発生>と<境界越え>の二点であろう。 この二つは定番である。
演出家の挨拶文を読んで題名の意味するところが分かった。 人間関係から発生する孤独と、先の見えない境界を越える時の孤独を表現したいようである。 シーザーは前者の孤独だったのかもしれない。
「前向き!タイモン」はダンスだったがこれも芝居への途中である。 次作もあの速さの動きと喋りで続けるなら、身体と科白の新しい関係を観せてくれ!