2014年2月25日火曜日

■アルトナの幽閉者

■作:J=P・サルトル,演出:上村聰史
■新国立劇場・THEPIT,2014.2.19-3.9
■幕開きからフランツが登場する迄はつまらない。 過去を語る力が弱いからだ。 原作が現代と状況がズレているからでは? しかしフランツと彼の部屋が舞台に出現した途端、一気に別世界に飛べた。
別世界とは去年観た「熱狂」「我が友ヒトラー」、そして「あの記憶の記録」の時代である。 この作品はあの記憶のもう一つの物語に位置づけられる。 しかし3作品とは違う。 科白がすんなり脳味噌に入らない。 言葉と役者の間がリニアではない。
後悔の念に駆られる?フランツだが父は責任を回避している。 「戦争はただ人を殺すだけのことだ」と。 クルップよりみえ難い。 二人が自死する理由は幾つか考えられるがまとめられなかった。 ヨーロッパ上流階級からみたあの記憶が見えない。
成程ヴィスコンティ的雰囲気も微かに感じられる。 これはブルジョア出身のサルトルから発散されているようだ。 父とベンツでスピード体感を味わったこと、そしてポルシェで自殺をする終幕も劇的である。
長女レニの衣装が頂けない。 カーディガンが場違いにみえる。 カーディガンは家族の匂いがする。 演出家は家族を出したかったのだろう。 でもドイツ富豪の戦争の傷跡が貧弱になってしまった。 ヨハンナの衣装も台無しである。
ところでフランツがソビエトから逃げる場面でプロパガンダの幕が降りてきた。 観客に文章を読ませるとは最悪である。 高揚感がここで途切れてしまった。 ここは科白で通さないとリズムが狂う。
■劇場サイト、http://www.atre.jp/14daltona/