■失踪者

原作:F・カフカ,構成・演出:松本修,音楽:斎藤ネコ,振付:井手茂太,出演:MODE
座高円寺,2013.12.1-18
就職活動中の人が観たら身につまされてしまうストーリーである。 特に移民は桁外れの就活だ。 閉じた円環の作品から抜け出てアメリカに渡り就活をするなどカフカにとっては大事件である。 だからM・ブロートの題名「アメリカ」の方が好きだ。
2001年公演の「アメリカ」が素晴らしかったので再び劇場に足を運んでしまった。 芝居とダンスのコラボが最高だったのを記憶している。 しかし同じ芝居は最初に観たのが一番になることが多い。 残念ながら今回もそうだ。 これが「舞台の法則」である。
この「失踪者」版は重心を芝居に移しているようにみえた。 終幕のヒトラー?の演説はカフカにあわない。 そしてアウシュビッツ?行きの列車に乗る幕引きはやりきれない暗さがある。 アメリカへ行ったのに再び東欧へ・・。
カフカ三部作は芝居・ダンス・音楽の三拍子が見事に揃った稀に見る舞台である。 この三作品でMODEにも注目するようになった。 今回は「審判」「城」も大きく改訂したのかな? これも観に行こうかな? ・・でも「舞台の法則」がチラツイテ行けそうもない。
*劇場サイト、http://za-koenji.jp/detail/index.php?id=939