■蜉蝣峠 かげろうとうげ

作:宮藤官九郎,演出:いのうえひでのり,出演:古田新太,堤真一,高岡早紀,劇団☆新感線
新宿バルト9,2013.10.28-11.1(2010.2.13収録)
幕開けからウンコを食べたり、チンチンを切られたりショッキングな場面が続きます。 「天保の改革」というと19世紀中頃の飢饉の頃ですかね。 それにしても農民の衣装も凄い。 匂いが迫ってくるようです。 これが150年前の日常風景だったのでしょうか?
ある意味劇的です。 これを風景的劇的とでも言うのでしょうか。 最初からボルテージは上がりっぱなしです。 主人公闇太郎(古田新太)が偽者だとわかった後半からはトップギアですね。
でもお泪と闇太郎の二人の愛と行く末に感動をしたいところですがそうさせてくれません。 闇太郎はただ一人ロボットのような科白や動きで、しかもお泪の両親を殺している。 生きたい!と闇太郎は何度も口にしますがその心の奥底が語られません。
近親者を次々殺していく立派親分(堤真一)も何をしたいのかよくわからない。 まるで蜉蝣のように生まれ、生き物としての欲を追いそして蜉蝣のように死んでいく人々にみえます。 それでも作者、演出家、役者の三拍子揃った力強い面白さが溢れていました。
*ゲキXシネ作品