■駆込ミ訴ヘ

原作:太宰治,演出:三浦基,出演:地点
神奈川芸術劇場・大スタジオ,2013.3.7-26
■「トカントントンとが面白かったのでこれも観ることにしました。 今回は原作を読んでから劇場に向かいました。 ラップ形式を取り入れてリズミカルですね。 このリズムが太宰のネットリ感を消しています。 しかも5人の役者に台詞を分散させてます。 この為かユダ自身の強い存在感も薄れたようです。 台詞の間に入れる役者の笑いもこれに加担しています。 結果、キリストとユダが同列の人間にみえてしまいました。
演出ノートを読んだら「ユダ=イエス」と書いてあるので驚きです。 まさしくこの舞台は、ユダ=イエス=太宰です。 この原因は上記のようにラップや台詞分散や笑い声で観客の意識まで分散させてしまった為だとおもいます。 しかもリズムがあるから共鳴を伴っています。 でもこの方法では他者に出会うのが難しくなるのではないでしょうか? 原作のほうがより強く他者に出会った感じを持ちましたが。 いろいろと想像力が持てる舞台でした。