■城

原作:F・カフカ、演出:松本修、出演:MODE
あうるすぽっと、2013.3.14-20
現代人の教訓のようなレトリックを感じる文章が時々映し出される。 登場人物も多い。 人数を利用して日常動作を基本にしたダンスも挿入される。 ストーリーも細かい出来事を繋げただけで全体が見えない。 カフカ的と言えなくはないが。
城の官僚的事務手続きが目に付く舞台である。 このためKの周辺にいる人たちの言葉の裏に隠そうとしていても現実的な匂いが現れてしまう。 しかもKはノッペラボウでブッキラボウな喋り方をする。 カフカ的世界はより浅くなる。
「もののけ姫」と結末は同じである。 シシ神が人間に敗れ神秘の森がタダの森になってしまったような光景である。 つまりKはタダの現代人であり城はいつも目にしている社会になってしまった。 それはともかくゴッタ煮のような舞台だ。 こういうのを雑踏的芝居というのだろう。