■長い墓標の列

作:福田善之,演出:宮田慶子
新国立劇場・小劇場,2013.3.7-24
母が娘弘子に花里を追いかけさせるところ、そして終幕弘子は花里を途中で追うのを止めてしまった理由を述べるところ、ここだけが人間味の感じられる場面でした。 あとは硬直化していく大学組織や国家状況の話です。 ハムレットのいない「ハムレット」を観ているようです。
それにしても山名教授は堅いですね。 逆に城崎は柔らかすぎます。 「・・この戦争を起こした犯人はどこかにいる!」、「・・私が犯人を引き受けましょう」(確かな台詞は忘れましたが)。 終幕での教授と城崎の対話です。 面白いのですが極端にみえます。 人生や政治思想で中庸の人々がいなくなるのが一番の問題だとこの芝居は言っているようです。
学生の林が唯一中庸にみえましたが田舎に引っ込んで最後は戦死してしまいます。 そして最初から気になっていた彼の笑いが不発だったのは不満です。
*NNTTドラマ2012シーズン作品