■唖女

■作:岸田理生、演出:千賀ゆう子
■こまばアゴラ劇場、2012.6.22-24
http://www.komaba-agora.com/line_up/2012/06/RioFes/#a_01
■役者の切れのある身体や声は観客にきっちり届きます。 チェロの即興的リズムも加わり、忙しさがありますが淡々とした舞台です。 これに唖女の俯瞰の位置が加わります。 しかし散らばっている感動の破片を上手く集められないような舞台です。
セリフ自身に強さが無いのも原因の一つかもしれません。 しかも保守的に感じます。 多分女性が持っている生物的な保守性です。 このセリフが役者の心を挑発しなかったのです。
余談ですが芝居を観る前日にラジオで「よだかの星」の朗読をやっていました。 たった2分間の、よだかが甲虫を食べる部分だけでしたが身震いがするほどの感動が押し寄せてきたのです。
朗読は経験に裏打ちされた緻密な方法論を持っていないと真の感動が伝わりません。 舞台を観ながらラジオの事を思い出していました。 秋の「平家物語」は楽しみにしています。