2012年6月16日土曜日

■藪原検校

■作:井上ひさし,演出:栗山民也,出演:野村萬斎,秋山菜津子
■世田谷パブリックシアター,2012.6.12-7.1
■太夫語りの劇中劇。 しかし構造は悪漢出世物語でいたって単純。 これも井上ひさしの初期作品ということで取り敢えず納得。 この単純構造を萬斎の盲の身体力で跳ね返す! 検校のことはこの芝居で初めて知りました。
盲太夫の語りは物語背景を知る上では必要ですが芝居の面白さがちょっと減りました。 解説的過ぎるからです。 しかし一番は杉の市が聞いた日本橋周辺の声や音の解説の部分です。 これで杉の市の聴覚がカラダで理解できました。
いつもの歌は少し寂しいですね。 ギターはよかった。 多分これは舞台が天上高く寸胴だからです。 しかも囲いがある。 このため声が拡散したのが理由です。 この劇場は舞台上の声や音が発散する欠点を初めから持っているから余計です。
しかし藪原検校になった杉の市が神社でお市に見つかり死刑になる終幕はあっけないですね。 これだけ悪さを積み上げてきたのにもったいない。 ところで萬斎は日本近世時代の舞台では水を得た魚のようでした。 やはり西洋が背景とは違いがでます。
カーテンコールでも萬斎だけ杉の市顔で挨拶をしたので笑っちゃいました。 他役者は通夜の席での顔で挨拶していましたが自信がなかったのでしょうか? 井上劇の役者はもっと笑顔で幕を下ろしてほしいですね。 
*劇場サイト、https://setagaya-pt.jp/theater_info/2012/06/post_278.html