■サド公爵夫人

■演出:野村萬斎,出演:蒼井優
■世田谷パブリックシアター、2012.3.6-20
■一幕から二幕の間が6年、三幕では7年の歳月が流れる。 言葉だけで表現しなければならないこの歳月が、迫ってこない。 それはルネが歳を取らないためである。 ルネの歳は言葉の表面を滑っていくだけである。
終幕サドが訪ねてきた場面で時間が一気に進んだ、しかしサドだけの時間が。 力を持っているセリフを役者達が制御できないので身体を飛び出してしまい時間が舞台に淀んでしまっているからだ。
白石は日本の母さんだ。 だから違う世界にいる。 パリやヴェネツィアの母さんになって欲しかった。 白石と麻実が漫才のボケとツッコミにみえたのはこれが原因である。
若い4役者たちは身体の存在感が希薄だった。 セリフと身体の関係性をもっと突っ込む必要がある。 演出家の得意なところだし。 円形床と壁はセリフに集中できた。 セリフとの照明の明暗同期も面白い。 音響は馬の蹄以外にもメリハリがあってもいいのでは?
*劇場サイト、https://setagaya-pt.jp/theater_info/2012/03/post_268.html