■高野聖

■演出:石川耕士・阪東玉三郎,出演:阪東玉三郎・中村獅童
■109シネマズMM横浜,2012.3.17-31
■映画手法が良い方向に動いてくれないようです。 舞台が細かい描写に弱いのはわかりますが、山道の行脚はハイキングのようでシラケますし、夜更けの動物は想像力を萎れさせます。 なぜ舞台上演をそのままにしなかったのでしょうか?
そして女が僧を畜生にしなかった本当の理由が見えてきません。 難しいところですが玉三郎の微かな笑顔が、獅童の言葉が停止したような無関心さが原因かもしれません。 いい線までいってるのですが。
翌朝に男の説明で僧は女の正体を知るのですが、この重要な語りの場面に深みがありません。 ここが全体から剥離しているようにみえるからです。 この正体の雰囲気が物語全体に広がっていなかったためです。 女と動物の関係がペットのような感じですし。
玉三郎は「観終わった後に小説を読んだ時と同じ感想が現れればそれでよい」と言ってましたが、やはり小説とは違った感動を追わないと舞台の良さがでないのではないでしょうか。 これら問題点をどう解決したらよいか考えてしまうような芝居でした。
*シネマ歌舞伎第17弾作品
*作品サイト、http://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/19/#sakuhin