■Idiotードストエフスキー白痴よりー

■演出:レオニード・アニシモフ,出演:東京ノーヴイ・レパートリーシアター
■東京ノーヴィ・レパートリーシアター,2012.2.3-5.27
■列車内の青白い光の中の二人を凝視してしまった。 集中できる幕開けである。 そして赤い炎の暖炉に投げ込まれた札束をガーニャが拾えないで失神する場面も息を呑んだ。 観客席が2列で奥行きのない舞台は斑のある暗い光で深さを出している。
小説を知らないとムイシュキンがラゴージンやリザヴェータ、アグラーヤから何故に信頼を得られるのかが不可解なはずである。 しかもセリフをつっかえるムイシュキンを見てセリフも覚えていないのか!とみてしまうだろう。 本当にセリフを閊えたのか?
感動した小説の映画化・舞台化を観るのはとても注意が必要だ。 過去に読んだ小説を思い出し舞台と重ね合わせて一層の感慨に浸ることも可能である、がしかし多くは最悪である。 読んで感動したら観ない、観て感動したら読まないのが原則である。
一部科白の喋り方が面白い。 心の思いをセリフに出す時、急に舞台から降りてしまったような日常的な喋り方になる。 これで観客も舞台から遠ざかってしまい緊張を戻すのに苦労する。 コンパクトにまとまっていてリズムのあるいい芝居だった。
*劇団、http://tokyo-novyi.muse.weblife.me/japanese/pg560.html