■新潮9月号「令和演劇ニューウェーブ」
■作家:岡田利規,大石恵美,野田秀樹,蓮見翔,角田光代,間宮改衣,相馬千秋,山﨑健太ほか
■新潮社,2026.9.7発行
■文芸誌が演劇を特集するのは久しぶりのことではないだろうか。 「新潮」9月号の「令和演劇ニューウェーブ」は、対談2本、寄稿3本、評論1本、エッセイ15本から構成され、20人前後の演劇人(劇団)が紹介されている。
そのなかで、自分が実際に観劇経験のある劇団を数えてみたところ、「ゆうめい」「7度」「ヌトミック」「贅沢貧乏」「円盤に乗る派」、それに「NODA・MAP」と「チェルフィッチュ」を含めても7団体しかなかった。 かつてと比べると小劇場シーンを追う頻度が減っており、自身のアンテナの及ぶ範囲の狭まりを実感した。
全体に目を通したなかでは、「問い直される演劇の条件」(山﨑健太)が特集全体の見取り図を提示していて参考になった。 この論考は「この小劇場を観よ!2013年」(「ユリイカ」)を起点に、この10年余りの演劇状況を振り返っている。 同特集が野田秀樹と岡田利規の対談で始まっていたことを思い出すが、今回の特集でも両人が登場し、大石恵美と蓮見翔を相手に戯曲賞から語り始めている点が印象に残った。
一方で、本特集では「演劇は流行っていない」という趣旨の記述にたびたび出会った。 しかし、そもそも演劇が広く「流行っていた」時代があったのだろうか。 加えて昨今は人々の関心が多様な分野へ分散しており、しかも人口減少のなかで、演劇が以前より目立ち難くなっているだけなのかもしれない。
では、10年後の演劇特集はどのような内容になっているのだろう。 AI技術の発達が進むほど、人々は逆に身体を伴う体験の価値を再発見し、演劇という表現形式への関心が高まる可能性がある。 そんな未来を想像しながら、この特集を閉じた。