■ミッドナイト・ソウルズ
■振付:カロリン・カールソン,音楽:エリック・ソイヤー,フィリップ・グラス,出演:ユーゴ・マルシャン,キャロリーヌ・オスモン,ユハ・マルサロ他
■NHK・配信,2026.6.1-(アヴィニョン教皇宮殿中庭,2025.8収録)
■「現代アーティスト、ジャン・ミシェル・オトニエルの作品をもとに創作された特別なダンス」とクレジットに表示される。 教皇宮殿と思しき高壁の前には、レンガを積み上げた廃墟のような彫刻作品が広がり、その表面は金塊のように光を放っている。 これがオトニエルのインスタレーションなのだろう。
男性ダンサーがその廃墟の中で踊り始める。 手や指先の細かな動きを中心に、仕草とも記号ともつかない振付が連なっていく。 強い風が吹いているらしく、衣装が大きくなびき、宮殿と廃墟の風景に不思議な生命感を与えていた。
舞台が進むと女性ダンサーが加わり、デュオが展開する。 さらに数名のダンサーが背景を歩き回り、そのうちの一人はレンガを抱えて移動している。 日常の所作を抽出したような振付だが、具体と抽象が交錯し、激しい動きも混じり、雑多さがむしろ魅力となっている。
観後に調べると、マレーネ・イヨネスコ監督の映画「至高のエトワール、パリ・オペラ座に生きて」でも、カールソン振付の「シーニュ」が紹介されているという。
照明は明暗の対比が鮮やかで、宮殿と彫刻作品を幻想的に浮かび上がらせていた。 そこに風が吹き込むことで、ダンスがまるで<生きている>かのように感じられる。 カメラワークも的確で、美術作品との60分にわたる共演は成功したと言えるだろう。