■消えていくなら朝
■作・演出:蓬莱竜太,出演:大谷亮介,大沼百合子,関口アナン,田実陽子,坂東希,松本哲也
■新国立劇場・小劇場,2025.7.10-27
■余裕のある家庭が想像できる舞台だ。 暖炉もある。 海もみえる。 両親と二人の息子、そこに兄の妻と弟の恋人が登場する。 途中、兄の妻は末娘だとわかる。 ヤジを飛ばし続けていたので謎の人物だったのだが。
舞台はすこしづつ雲行きが怪しくなっていく。 各人が裏に秘めた日頃の鬱積を吐露し始める。 言えるのは、新興宗教に入信している母が崩壊の原因だろう。 この影響が3人の子供たちに長く深く沁み込んでいる。 両者に挟まれた父はどうすることもできない。 切り札は離婚ぐらいか? よくあるパターンだ。
言葉尻を捕らえた科白の展開が耳につく。 家族内でこの言葉の遣り取りはないだろう。 登場した6人全員が暴き始めるのも頂けない。 これでは観客は逃げ場が無い。 その諄さを和らげるため、娘にヤジを飛ばせる位置に座らせておくのがよかったかもしれない、道化のように。 また弟の恋人の差別話に戸惑う。 家族内の喧嘩だけでまとめるべきだ。 そのほうが作品に強さが増す。 不幸を扱っているが客席から笑いが漏れる。 ある意味ほっとする。
一晩中啀み合って朝になってしまった。 弟が帰れば家族は元の関係に戻るだろう。 ふたたび父が薪を焚べる姿がみえる。 良くも悪くもそれが家族というものだ。 消えていくなら朝・・。
*NNTTドラマ2024シーズン作品
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