■能楽堂七月「宝の槌」「一角仙人」
*国立能楽堂七月普及公演の□2舞台を観る.
□狂言・大蔵流・宝の槌■出演:善竹忠重,善竹十郎,善竹忠亮
□能・観世流・一角仙人(酔中之舞)■出演:武田尚浩,角幸二郎,野口琢弘ほか
■国立能楽堂,2025.7.12
■「宝の槌(たからのつち)」は、太郎冠者が詐欺師から何でも打ち出せる宝の撥(太鼓のバチ)を買ってしまうが・・。
プレトーク「能における仙人と仙境」(表きよし解説)を聴く。 ・・仙人が登場する作品は少ない。 「西王母(せいおうぼ)」や「東方朔(とうぼうさく)」ぐらいだろう。 両者は桃が関係している神仙思想の作品である。 「一角仙人」はインドを背景としている。 仙人が雨で滑ってしまったので竜神を恨み岩屋へ閉じ込める話が「今昔物語」にある。 このような仙人の性格から酒や女にも弱いと判断した帝は施陀夫人を仙境へ向かわせる。 この策略が当たり竜神は解放される。 作者は室町後期の新しい観客を引き寄せるための舞台をつくった信光や長俊と同時代の金春禅鳳である。 居眠りなどさせない! ・・などなどを解説した。
「一角仙人(いっかくせんにん)」は思った以上に展開が速い。 特急電車並みだ。 居眠りをする暇などない。 能はもともとがバラエティと言える。 「楽」の相舞や子役も登場し娯楽性がより強い。 そうそう、子役は禅鳳の孫を舞台に立たせたかったから、とトークしていた。 面はシテが「一角仙人」ツレは「万媚(まんび)」。 千駄ヶ谷駅へ向かう帰りの足取りも軽く速くなった。