■くるみ割り人形とイオランタ

■指揮:マキシム・パスカル,演出:ロッテ・デ・ベア,出演:川越未晴,北川辰彦,岸浪愛学ほか,東京シティ・バレエ団,東京フィルハーモニー交響楽団
■東京文化会館・大ホール,2025.7.18-21
■チラシは「イオランタ/くるみ割り人形」とある。 今日の出演者表をみると「くるみ割り人形とイオランタ」になっていた。 二期会としてはオペラを重視したいので前者を広めたのかもしれない。
チャイコフスキーではどちらも好きな作品だ。 これがチケット購入の理由だが、夏場の「くるみ割り人形」は珍しい。 暑い中を上野へ向かう。
いや、とても良くできていた。 ルネ王の娘イオランタの夢の中に「くるみ割り人形」が出現する構造になっている。 しかも彼女が盲目のため夢か現実か切り分けがつかない。
チャイコフスキーバレエには根源的寂寥感が漂っている。 イオランタ役川越未晴は感情をあまり出さず淡々と歌う。 この盲目の歌唱とバレエが融合しイオランタの心を見える形で現前させた。
また「イオランタ」は哲学的オペラといえる。 この哲学をバレエが柔らかくした。 両作品の相乗効果が噛み合っていて面白い。 ダイジェスト版を観た感は否めないが完成度は高い。 満足して暑さが残る上野を後にした。
*ウィーン・フォルクスオーパー,ウィーン国立バレエ団共同製作
*東京二期会オペラ劇場