■フェドーラ

■作曲:U・ジョルダーノ,指揮:マルコ・アルミリアート,演出:デイヴィッド・マクヴィカー,出演:ソニア・ヨンチェヴァ,ビュートル・ベチャワ他
■新宿ピカデリー,2023.3.3-9(メトロポリタン歌劇場,2023.1.14収録)
■J・ラシーヌ作と間違えてしまった。 もちろん初めての作品。 粗筋を先に読まなかったのは正解だった。 ストーリーの出来が良かったからよ。 スタッフも「アガサ・クリスティなみのドラマ・・」と言っている。 しかもヴェリズモ・オペラのリアルさが舞台の質を上げていたわね。
タイトル・ロールはソニア・ヨンチェヴァ。 MET総裁P・ゲルブも「彼女しかいない・・!」と絶賛なの。 ロシア皇女としての貫禄、感情の強弱操作、高低差のある歌唱の深み、すべてに納得だわ。 テノール役はピュートル・ベチャワ。 彼も重味が有って似合いの二人だった。
舞台はサンクトペテルブルクからパリへ、そしてスイスアルプスへ・・。 美術や衣装、もちろん楽曲も変化していく楽しさがある。 その時空はM・プルースト「失われた時を求めて」を参考にしたと演出家D・マクヴィカーは語っている。
彼のMETでの演出数はF・ゼフィレッリを越えたようね。 さすがマクヴィカー。 彼の演出は驚きのなかでも安心して観ていられる。 この舞台にも満点をあげたい。
*METライブビューイング2022作品