■能楽堂三月「磁石」「野守」

*国立能楽堂三月普及公演の□2作品を観る.
□狂言・大蔵流・磁石■出演:綱谷正美,茂山茂,丸石やすし
□能・金剛流・野守■出演:廣田幸稔,高井松男,松本薫ほか
■国立能楽度,2023.3.11
■「磁石」は旅人がすっぱ(詐欺師)と騙し合う話。 旅人が磁石の精と偽り物理現象を直截に表現しカネや刀を吸い取るところが楽しい。
「野守」のプレトーク「水鏡と鬼神の鏡」(梅内美華子解説)を聴く。 世阿弥一座は興福寺に庇護を受けていた時期があり、その寺の唯識学の鏡の影響が世阿弥にある(?) 飛火とは狼煙であり当時は春日野地区の状況を京へ知らせていた。 作品に含まれる歌の解説、世阿弥の砕動・力動風鬼の話も入る。
ホールに奈良の観光案内と物産が出店していた。 寺周辺の屋台を覗いている気分だ。 春日野の春景色の謳歌で舞台は始まり、鬼神の舞働の後半が見どころである。 前後を通してシテは仕事師として淡々と謡い踊っていた。 観ていて心地よかった。 面は「三光尉(さんこうじょう)」と「小癋見(こべしみ)」。 今日は千駄ケ谷で春日野の春を満喫した。