■能楽堂四月「通円」「八島」

*国立能楽堂四月定例公演の下記□2作品を観る。
■国立能楽堂,2022.4.6
□狂言・大蔵流・通円■出演:山本東次郎,山本則孝,若松隆ほか
■茶屋亭主の通円が多くの客に茶を提供して過労死した話である。 「舞狂言」のため能形式に従っている。 もちろん囃子や地謡を伴っている。 しかしシテの動作が大げさだ。 コミカルにも感じられる。 能として見てしまう為だろう。 いつもとは違った面白さはあるが(能に)近づくほど興醒めしそうだ。
□能・喜多流・八島■出演:長島茂,佐々木多門,大日方寛ほか
■小書に弓流と那須が添えられている。 前場はとてもゆっくりしたテンポで進んでいく。 屋島浦の長閑な風景が気持ち良い。 続く「 錣引 しころびき」などの威風ある戦語りに巧く繋がっていく。 中入で那須与一「扇の的」を仕方話で語り上げるのだが迫力満点である。 そして後場では義経の霊が登場し小書の「弓流」が特に強調される。
しかし後場が盛り上がらない。 「錣引」も「弓流」も「那須」の威勢の良さに隠れてしまったからである。 「那須」は科白量が多く力強い演技だ。 屋島風景とシテの戦闘描写の絶妙な絡み合いが壊れてしまった。 小書のサービス過剰と言ってよい。