■斬られの仙太

■作:三好十郎,演出:演出:上村聡史,出演:伊達暁,瀬口寛之,小泉将臣ほか
■新国立劇場.小劇場,2021.4.6-25
■天狗党と言えば漫画?で知ったのが最初かもしれない。 時代劇は台詞を当時の言葉に近づけるか否かで印象が変わってくる。 今回は幕が開いて10分間は役者が何を喋っているのか聞き取れなかった。 方言が入れば尚更です。 しかし慣れるのも早い。 言葉とは不思議ですね。 それとチャンバラ(剣術)場面が多いのも楽しい、舞台では舞踊に近いが。
主人公仙太は百姓から博徒に流れ、次に天狗党に参加し切込み隊長となりタイトルの如く斬って斬られながら時代を走っていく。 仙太は百姓寄りの正義は持つが水戸浪士加多の尊王攘夷から距離を置いているようにみえる。
その中で仙太のカネの扱い方が面白い。 お妙に持ち金20両すべてを恵む場面、罪悪がみえない賭場荒らしをする、周囲の同士からカネを集め女に渡すのは並外れた行動にみえる。 女に惚れていたのは分かるが、仙太にとってカネは天狗のような妖怪魔物だと承知していたのでは!? それは贈与に似たものかもしれない。 しかし天狗党は違った。 天狗党が天狗ではないことを仙太は見抜いていたのでしょう。 終幕、彼は<天狗探し>を止め百姓に戻っていく・・。
<天狗>の二つの意味、鼻高々の出来星か、妖怪魔物か、を加多と仙太の行動から寄り道をしながら観ました。 歴史を取るか、仙太の人生(天狗探し)を取るか、両者が上手く練れていたと思います。
*NNTT演劇2020シーズン作品
*追記・・周りの席で米沢唯の記事を読んでいる客が多いのに気が付く。 彼女がダンサーということは知っていたし舞台も観ている。 なぜ彼女が演劇に? 気になったので帰りにプログラムを買った。 なんと彼女の父が有名演出家だったとは驚きです。