■更地の隣人

■作・演出:平松れい子,企画:近藤強,出演:折笠富美子,近藤強,根本江理ほか
■アトリエ春風舎,2021.3.31-4.4
■アマチュア無線はSNSの元祖かもしれない。 しかも媒体が声のため舞台に馴染む。 また電話ではワイヤレスマイクを多用している。 このように、相手の見えない対話が続くと異化効果が現れますね。 役者たちの抽象性ある動きも効果を高めて面白い。
幕が開き、土砂災害で妻を失った夫と、夫を失った妻の交流が始まる。 二人は不明の相手を探している。 男は土砂をかき分け妻を探し、女は無線を介して夫に連絡しようとする・・。
途中で謎が溶けてくる。 不明の妻は子供を見殺しにして精神を病んでいたらしい。 災害現場から彼女の遺品がみつかり、冷たく当たっていた妻への反省が男に募ってくる。 また不明の夫が突然登場し、災害直前に妻へ離婚を申し込んでいたことが語られる。 無線機を介しての妻の言動は離婚を受け入れられなかった為ですか。 終幕、男と女は残骸の供養をして過去のしがらみを捨て新しく生きようと踏み出す・・。
二組夫婦の対称性を重視し過ぎて物語に無理が出たようにみえます。 妻への反省、夫からの離婚がどこか突飛な感じがしました。 詰め込み過ぎて、男と女の心の流れが途切れてしまった。 良く出来ている形を崩すのも悩ましい。 作者は内容より形式の優位性を求めているようです。
久しぶりのアトリエです。 内壁が新しくなり照明も取り替えたようです。 建物や出入口はそのままだが別の劇場に居るようでした。
*青年団若手自主企画vol.85近藤企画