■満州戦線

■作:パク・グニョン,翻訳:石川樹里,演出:シライケイタ,芸監:流山児祥,出演:伊藤弘子,清水直子,洪明花,いわいのふ健,カゴシマジロー,小暮拓矢
■ザスズナリ,2018.7.11-16
■客席を両端に分け舞台を中央に置く構造はこの劇場では初めてです。 本日は満席で男性高齢者が圧倒的に多い。 そして1940年満州国、新京在住6人の朝鮮人の物語が始まる。 その一人、金田という文学青年が舞台からときどき抜け出し未来から現在にト書きのように語りかけます。
これから生まれてくる彼の父を何とか育てようと周囲の人たちが奮闘する話だと分かってくる。 祖母芳江が新京役所に勤めていた時の上司との間にできた子が父になる。 芳江はすぐに日本人である上司に捨てられるからです。
それは日本人として生きていく為に芳江が取った行動でした。 戸籍上の祖父になる満州国陸軍軍官飛鳥も日本軍人に同化しようと努力している。 その妹慶子、医者の木村と婚約者であるキリスト教信者尚美を含め6人は五族協和のなか苦しい生活を続けて行きます。 そして戦争終結がみえたある日、君が代が流れるなか旭日旗の前で直立不動の彼らの姿を映しだしながら幕が下りる・・。
複雑さを感じる舞台でした。 客席が明るくなると周囲も騒めいていましたね。 アフタートークがある。 出席はパク・グニョン、シライケイタ、流山児祥、通訳は洪明花。
韓国上演でも終場は賛否があったようです。 当時の状況下で人々の多くは時代の流れに身を任せ必死に生きなければならなかったことを作者パク・クニョンは伝えたかったようです。 国家がどうであれ日常を生き切ることが大事だということでしょう。
次に作者はモンペの話をしだした。 それは国家総動員法を近頃知ってモンペに関心を持ったそうです。 国家強制のモンペ普及運動ですね。 朝鮮では日本支配の象徴ですが満州ではどうだったのか?
また祖父を含め家系図の話があったが、これは元大統領批判が含まれている。 そして腐敗している一部キリスト教団体の話や、韓国国歌がいまだに満州国祝典音楽を使っているとの批判も出ました。 満州国が今の韓国に複雑な影を落としているのがわかります。 岸信介の満州資金が回りまわって安倍晋三まで繋がっている日本も同じだということでトークは終わりました。
*CoRich、https://stage.corich.jp/stage/91967
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