■ブロウクン・コンソート

■作・演出:野木萌葱,劇団:パラドックス定数
■シアター風姿花伝,2018.6.26-7.1
■舞台は下町の銃製造工場の事務室らしい。 幕が開きすぐに息をするのも忘れてしまう程の緊張感がやってくるの。 それは警察やヤクザの仕事の裏側を見せてくれるからよ。 台詞が演技に浸み込んでいくリアルさがある。 少しでもズレると漫画になってしまう。 現実の底板下の世界をみている緊張感と言ってもいいわね。
そして二人一組の関係構造が面白い。 職位上下の二人の刑事、ヤクザの兄弟二人、銃製造職人も兄弟二人。 互いの二人は性格や人生観が違い危機への対応も違う。 題名の通りね。 この差が物語の襞を作っていく。 そして銃製造の機械音や殺人の叫び声を音響だけで、時間推移は微妙な照明差だけで表現しているのも世界の冷酷さを感じさせる。
劇的感動は無いけれど舞台の存在意義の答えを確かに持っている。 その答えを見事に表現しているのは流石ね。
客席は20歳代女性が5割、65歳上男性が3割かな。 この比率は時々お目にかかるの。 それは有能な若い女性演出家の作品が目立たない小劇場で上演される時よ。 演出家は要注目ということね。 来年7月の新国立劇場初登場は楽しみだわ。 でも牙を抜かれないでね。
*パラドックス定数第40項
*劇団サイト、https://pdx-c.com/past_play/broken-consort-2018/