■ロメオとジュリエット

■原作:W・シェイクスピア,作曲:C・F・グノー,指揮:G・ノセダ,演出:B・シャー,出演:D・ダムラウ,V・グリゴーロ
■東劇,2017.9.2-3(MET,2017.1.21収録)
■この作品をオペラで観るのは初めてかも。 1幕出会い、2幕バルコニ、3幕結婚と決闘、4幕仮死、5幕墓所の全5幕。 幕単位で一気に物語時間を飛ばすから振幅の大きなリズムが感じられる。 台詞が少ないから芝居とは違う作品にみえるの。 演出家シャーは凝縮といっていたけど省略も多い。
ロメオ役グリゴーロの声は錆びていて相手に纏わりつく感じだわ。 でもジュリエット役ダムラウの歌唱はロメオを通り抜けてしまう。 最初は絡み合わなかったけど後半は慣れて来たわよ。
5幕の墓所は驚きね。 芝居ではロメオとジュリエットはすれ違いだと記憶していたけど、オペラではロメオが毒を飲んだ直後にジュリエットが目覚めて歓喜のデュエットが続くの。 ロメオの毒が回り始めそれを知ったジュリエットは短剣で自身の胸を刺す。 その時ロメオも刺すのを手伝ってしまう・・!?
舞台はヴェローナの街角だけど単色の暗さが重みを出していた。 同じ構成で全幕通すのもなかなかやるわね。 でも合唱団の衣装がとても豪華なの。 衣装担当がフェデリコ・フェリーニのファンなのよ。 しかも「カサノバ」を意識したらしい。 この妖しい衣装はロメジュリの恋愛には似合わない。
ロイヤル・バレエ団でこの作品を観た時はとても感動したことを覚えている。 でもオペラはシェイクスピアからも遠くなってしまった。 METだから? ロイヤル・オペラならどうかしら?
*METライブビューイング2016作品
*MET、https://www.shochiku.co.jp/met/program/s/2016-17/#program_05
*2017.9.3追記・・中村雄二郎の訃報を新聞で知ったの。 舞台を話題にした著書が多いからよく手にしたわ。 鈴木忠志との共著「劇的言語」は舞台本ではベスト作品の一つ。 好きな作品は随筆「考える愉しみ」。