■チック

■原作:ヴォルフガング・ヘルンドルフ,上演台本:ロベルト・コアル,翻訳・演出:小山ゆうな,出演:柄本時生,篠山輝信,土井ケイコ,あめくみちこ,大鷹明良
■シアタートラム,2017.8.13-27
■クルマの運転席を観客席に設置し役者が運転をしながら玩具の自動車を舞台に走らせるとは面白い。 小道具が映像や照明と混ざり合っていて新鮮でした。
粗筋を読まないで観たのですが出だしの30分は引き込まれました。 しかしマイクとチックのドライブは小さな事件を積み重ねていくだけです。 不安になります。 休息中にプログラムを買い野村萬斎の挨拶文を読んでどういう芝居か分かった。 二人が14歳だということが。 少年と青年の間に在るほろ苦い時期を描いた少青冒険譚ということですね。 しかし何故この芝居を見抜けなかったのか? それは・・
マイクとチックを青年として最初みてしまったからです。 マイクの両親がアル中や不倫が見え見え喧嘩も派手でで子供との距離感が掴めなかった。 それとチックが大人びているにも関わらず肝心な科白が一言も無い。 チックが見えない。
言葉の少ない作品です。 「他人の目は気にするな」と母は二度もマイクに言いますがそれだけです。 またマイクの独白する人生や死に対する言葉が前後と切り離されて浮遊している。 この状況のまま自動車事故に遭遇し幕が下ります。
この時期をテーマにした作品は映画ではよく見かけます。 少年と青年の間にある独特なリズムが必要なため舞台より映画の方が作り易いのでしょう。
*劇場サイト、https://setagaya-pt.jp/performances/201708tschick.html