■黄金時代

■音楽:ドミトリー・ショスタコーヴィチ,振付:ユーリー・グリゴローヴィチ,出演:ニーナ・カプツォーワ,ルスラン・スグヴォルツォフ,ミハイル・ロブーヒン
■Bunkamura・ルシネマ,2017.8.12-9.1(ボリショイ劇場,2016.10収録)
■ロシア構成主義の幾何学模様に囲まれた舞台隅には「1923」と書かれている。 まさに黄金時代ね。 猟師ボリスが踊り子リタをギャングのヤシューカから奪い取る話よ。
ソビエト時代を感じさせる群舞で始まるけど器械体操のような動きもあって力強い。 一転して同時代の「シカゴ」顔負けのキャバレー場面になり振付がより複雑になっていくの。 男女関係をウルトラ級のリフティングで次々とこなしていくから目が離せない。
この激しい動きでもリタ役ニーナ・カプツォーワは汗一つかいていない。 しかも個性を出さないからどこにでもいる普通のお姉さんにみえる。 相手のボリス役ルスラン・スクヴォルツォフも真面目腐ったお兄さんだからお似合いね。 ギャングのヤシューカ役ミハイル・ロブーヒンはなかなかの適役だったわ。 
1930年初演は失敗したらしい。 ショスタコーヴィチはソビエト当局から形式主義とのレッテルを貼られ再演は1982年まで待たなければいけなかったようね。 これだからボリショイ・バレエには奇想天外な作品が多いのかも。 この作品も弄くり回しているからそれを感じる。
ところでルイス・ブニュエルの「黄金時代」も1930年公開時に右翼がスクリーンに爆弾を投げつける事件で50年間公開禁止になってしまった。 黄金時代はどれも同じような道を辿るのね。
*ボリショイ・バレエinシネマ2016作品
*作品サイト、http://www.bunkamura.co.jp/cinema/lineup/17_bolshoi.html