■部屋に流れる時間の旅

■作・演出:岡田利規,音・舞台美術:久門剛史,出演:青柳いずみ,安藤真理,吉田庸,劇団:チェルフィッチュ
■シアタートラム,2017.6.16-25
■小さなダイニングテーブル、その花瓶には淡いピンクのバラ二本と水の入ったコップ、近くに椅子が二つ、床には扇風機のような轆轤のようなオブジェたちが静かに動いたり止まったりしている。 背景の青白いカーテンが時々風にゆらいでいる。 雑音が何かの清音のように微かに聞こえてくる。 透き通った静けさに満たされた水の中に居るかのようです。
死んだ妻の幽霊が夫に話しかる。 でも二人は互いに視線も身体も知らん振りです。 妻はあの時のことを夫の身体を掠めて話し続ける。 あの時とは震災の日の前後です。 幾つもの些細な行動に対して妻は夫に相槌を求めます。 ・・どう思った? ・・どう感じたの? ・・。
夫は新しい恋人を家に連れてきます。 妻は恋人にも知らん振りです。 夫と恋人は視線は合わせますが動きは緩慢です。 2人の時間は植物が成長するようにゆっくりと前進していく。 でも妻の時間は言葉に変換され声として響き続けているだけです。 「永遠の希望、死者への羨望、そして忘却・・」。 妻の声が美術や音響・照明とシンクロされ舞台に深みを与えていました
*劇場サイト、https://setagaya-pt.jp/performances/201706heyaninagareru.html