■君が人生の時

■作:ウィリアム・サローヤン,翻訳:浦辺千鶴,演出:宮田慶子,出演:坂本昌行,野々すみ花,丸山智己,橋本淳ほか
■新国立劇場・中劇場,2017.6.13-7.2
■チラシの粗筋も読まないで劇場に向かいました。 サローヤンは中学?の授業で読んだ記憶がある。 日常風景を描いていた作家なので素面で観たほうが面白いと思ったからです。
幕が開いて、じわじわと冷や汗が出てきました。 役者と役者に距離感があり過ぎる。 科白も孤立している。 話がまとまらない。 人物が規則正しく間を置いて登場する為もある。 広い舞台が閑散としています。 一人ジョーがシャンパンを飲みながら勝ってに騒いでいる。 しかもカネを皆にバラまきながら。 近づき難い舞台です。 そのうち客席から鼾が聞こえてくる。 隣席もウトウトしています。 私が演出家なら不安で劇場から逃げ出したでしょう。
それにしても酒場の客はビールを美味そうに飲みますね。 こちらも喉がムズムズしてくる・・。 喉が乾いても今日は頭が冴えていたので我慢して観ていました。 そして中休みへ。 観客の8割は若い女性です。
後半に入り何とかリズムが合ってきました。 時代に翻弄されてきた人種の違う多くの人々が登場する。 湾港では労働争議が起きますが酒場はいたって呑気です。 売春を取り締まる警察との衝突も他問題と切り離されている。
「不穏な時代に謳い上げる人間賛歌」というのはガラーンとした舞台のようなものだと感じました。 役者も科白もモノも空間にばら撒き漂わせる。 得体のしれない緊張感を伴いながら、社会問題も乾燥した響きのある空間の中で分解していく。 米国1939年の風景が舞台にみえました。
*NNTTドラマ2016シーズン作品
*劇場サイト、http://www.nntt.jac.go.jp/play/performance/16_007982.html