■ヒッチコック/トリュフォー

■監督:ケント・ジョーンズ,脚本:セルジュ・トゥビアナ,出演:デビッド・フィンチャー,ウェス・アンダーソン,黒沢清ほか
■フランス・アメリカ合作,2015年作品
■書店の映画コーナーで必ず目にする本「映画術ヒッチコック/トリュフォー」を10人の監督が語る映画である。 本の評判は耳にしていたが実は読んでいない。 トリュフォーがヒッチコックにインタビューをしてまとめたものらしい。
登場する10人の監督はヒッチコックをベタ褒めする。 「この本を読んで映画の撮り方が変わった・・」。 様式の美学、サイレントの魅力、アクターズ・スタジオ出身俳優の位置付け、カイエ・デュ・シネマで展開した作家主義の適用等々が話題になる。 後半は「めまい」と「サイコ」に時間を割いている。
監督たちの話には頷いてしまうが、何故今頃になってこのような映画を作るのか?の疑問は消えない。 ヒッチコックの面白さは別格だが時代は変わっている。 監督たちの話も新鮮さがない。 トリュフォーも付け足しにみえる。 本を読んでいないので大きなことは言えないが。
ヒッチコックの作品は1930年代後半からしか知らない。 「レベッカ」を観た後に監督がヒッチコックだと知って驚いたことを覚えている。 いつものヒッチコックとは別の面白さを感じたからである。 彼の作品からは真摯な娯楽性が感じ取れる。
トリュフォーの作品はほぼ全て観ている。 私版ベスト3は「大人はわかってくれない」「突然炎のごとく」「緑色の部屋」。 「突然炎のごとく」を初めて観た時の衝撃は大きかったが十数年後に再観したときの失望も大きかった。 多くは最初に出会った印象がいつまでも残る。 映画も一期一会である。
*映画com、http://eiga.com/movie/84626/photo/