■亡国のダンサー

■作・演出:佐藤信,劇団:黒テント
■ザスズナリ,2017.3.25-29
■舞台の至る所に緊張感が宿っている。 台詞や役者の喋りや動作そしてダンスの振付にムリムラムダが無いからよ。 しかも小さな謎が次々と押し寄せるから自ずと集中していく。 
後方スクリーンに日本書紀巻二十四「乙巳の変」が写し出されコロスであるダンサーたちが科白にするの。 雨の降っている風景や争いの場面はまさに乙巳の変の再現かな?
でも役者たちは近未来の企業のお家騒動を演じている。 女性理事長をみて大塚家具問題を思い出してしまったわ。 なぜコロスは亡国を論じ役者は内紛劇を演じるのか? しかも後者の黒幕はコンピュータシステムが関わっているらしい。 この三つを繋げる鍵はチラシに書いてある「答えられるだろうか、未来からの問に。 ・・・。 わたし(たち)は今、何をしているのか、なぜ黙っているのか。」。 うーん、上手くまとめられない。 そして人工知能らしきものの登場でそうならない。 しかも「わたし」が蘇我入鹿になった理由が説明されたけど聞き漏らしてしまった。 「それは老人が・・・」。 
それでもカタルシスを感じられた。 役者たちの発声や動きからくる身体性の良さから来ているとおもう。 芝居構造は面白いけどコンピュータは曲者ね。