■ミス・サイゴン

■制作:C・マッキントッシュ,脚本・歌詞:A・ブーブリル他,出演:J・J・ブリオネス,E・ノブルザタ,A・ブラマ
■TOHOシネマズ日劇,2017.3.10-(プリンス・エドワード劇場,2014.9.22収録)
■舞台の面白さは伝わって来ないが25年の上演実績の重みがライブシネマでも感じ取れる。 特にクローズアップの多用でミュージカルから演劇に近づいている。 衣装や小物もよく見えるからアジアを強く意識できる。 アジア系役者の多さもベトナム戦争を近くに感じる。 加えて少女キム、米兵クリス、狂言回しエンジニアの夫々が持っている地を壊さない演技がリアルさを出している。 このアップの緊迫感から観客は逃げられない。 ダンス場面では舞台を俯瞰したいがこれもさせてくれない。 金縛りにあったような変わった爽快感を持っている。
この作品はキムのクリスへの一途な愛にサイゴン陥落、アメリカ移住の夢、混血・孤児問題が追い打ちをかけ3時間半を少しも厭きさせない。 終幕の主人公の自死は物語を終わらせる為のようで気に入らないが「蝶々夫人」とは違った観後感を持つのは作品完成度が高いからだろう。 オリジナルキャストを迎えての特別フィナーレも楽しかった。
*作品サイト、http://miss-saigon-movie-25.jp/index.html