■エッグ・スタンド

■作:萩尾望都,演出:倉田淳*1,出演:松本慎也,曽世海司,岩崎大,劇団:スタジオライフ
■シアターサンモール,2017.3.1-20
■時代はナチス・ドイツ軍占領下のパリ。 踊り子ルイーズの部屋には居候の少年ラウルとレジスタンスのマルシャが共同生活をしている。 しかし生活の匂いはまったくしません。 時間軸に沿って最小限の編集で場面を繋げていく。 物語の表層だけが水のように流れていく。
殺人を犯し続けるラウルには重すぎる秘密があったのでしょうか? 見過してしまった? エッグ・スタンドの孵化しなかった卵は象徴的です。 これを補う台詞の断片も随所で語られる。 でも秘密は自身の奥にあり戦争の時代や世界とは抽象で結ばれているようです。 現実から遊離しているようにみえる。 舞台に入魂できなかったのは彼の秘密が人間関係世界にいるルイーズやマルシャンと深く繋がらなかったからでしょう。
「トーマの心臓」初演から20年経って初舞台化するのはそれだけ難しい作品なのでは? 原作を読んでいないので早速読みます。
*1、「アドルフに告ぐ」(2015年)
*作品サイト、http://www.studio-life.com/stage/eggstand2016/