■コペンハーゲン

■作:マイケル・フレイン,演出:小川絵梨子,出演:段田安則,宮沢りえ,浅野和之
■シアタートラム,2016.6.4-7.3
■1941年のコペンハーゲンで、物理学者ヴェルナ・ハイゼンベルクはニルス・ボーアとその妻マルグレーテを訪問します。 舞台ではこの訪問場面が何度も再現され、話は量子力学から核分裂そして原子爆弾製造へと深まっていく。 同時に彼らの家族・同僚・人種そして国家と戦争がこの話にまとわりついていきます。
量子力学がちりばめられているので全体に格調高い科白に聞こえる。 不確定性原理と観測問題を彼らの行動に適用している為です。 二人の不確かな本心の探り合いの繰り返しが芝居の見せ場になります。
マルグレーテの台詞は少ない。 ト書きと二人の会話に突っ込みを時々いれるくらいですが3人いないと均衡がとれません。 いつもと毛色の違う対話劇のためか役者の演技の境界をチラッと見ることができます。
ハイゼンベルクのプルトニウム臨界量計算の誤りは意図的なのか? 結果ナチスの原爆開発は遅れるが、核の脅威がここから始まってしまったことは確かです。 学者の核兵器への苦しみも伝わっては来ますが、この芝居の面白さはループ構造にして二人の悩める心を不確定性に描き出したところにあると思います。
*劇場サイト、https://setagaya-pt.jp/performances/20160604copenhagen.html