■ザ・カーマン

■原案:G・ビゼー,演出・振付:マシュー・ボーン,出演:C・トレンフィールド,Z・ストラレン,K・ライアンズ,D・ソース,監督:R・マクギボン
■恵比寿ガーデンシネマ,2016.6.25-(サドラーズ・ウェルズ劇場2015年8月収録)
■マシュー・ボーンのチャイコフスキはまだ古典だがビゼーになると現代へ飛ぶ。 着想はカルメンのようだが観ながら「ウェストサイド物語」を思い出してしまった。 たぶんボーンも比較を意識しているはずだ。 しかしニューヨークではない。 ジットリとした蒸し暑さが残り夕焼けで染まる薄汚い街は「欲望という名の電車」へと繋がる。
生活に密着している言語と身体でつくられた振付は日本語を母語としている者には絶対に作れないだろうと感心してしまう。 ガレージ・ダイナーからクラブ・バーそして刑務所ヘ、再びガレージ・ダイナへと円環する深みのある舞台も飽きさせない。 夫ディノを裏切り同僚ラナに罪をなすりつけ恋人ルカと逃げるナナが最後にルカを射殺するストーリも筋が通っている。 忘れた頃に聞こえてくるカルメンの旋律も郷愁を誘い1960年代アメリカ南部(そのように見えた)の若者群像に暫時浸ることができた。
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