■エレクトラ

■作曲:R・シュトラウス,指揮:E=P・サロネン,演出:P・シェロ,出演:N・ステンメ,W・マイヤ,A・ピエチョンカ,E・オーウェンズ
■東劇,2016.6.4-10(MET2016.4.30収録)
■掃除をする箒の音で幕が開くの。 オペラでは考えられない。 歌手も現代劇の俳優のようにみえる。 演技も歌唱も存在感と緊張感が一杯ね。 妹クリソテミスと母クリテムネストラの歌唱は演技に浸み込んでいくようだった。 弟オレストの佇まいには身震いしたわ。 終幕、母を殺したあと姉妹の前をロボットのように歩いていく彼の姿は復讐の女神エリーニュスに追われる未来がありありとみえてくる。
この作品はオペラの一線を越えている。 日本語訳も張りがあるの。 演劇と言ってもいいかもしれない。 演奏からくる演劇性も舞台を盛り上げている。 この面白さは演出家パトリス・シェロー*1の遺産からきているのね。
*1、「苦悩」(2011年)
*METライブビューイング2015作品
*作品サイト、http://www.shochiku.co.jp/met/program/1516/