■運命の力

■作曲:G・ヴェルディ,指揮:J・L・ゴメス,演出:E・サージ,出演:I・タマ,Z・トドロヴィッチ,M・D・フェリーチェ,K・ケモクリーゼ,松位浩
■新国立劇場・オペラハウス,2015.4.2-14
■序曲を聞きながら王侯貴族の名前が書かれている赤色の紗幕を見ているとスペインの過去に吸い込まれていくようだわ。
運命の力とは何か? 事象の多くが偶然なの。 銃の暴発も戦場での出会いもそして終幕の三人の再会もね。 「偶然の力」+「宗教の力」=「運命の力」の式は19世紀も揺がない。
でも「物語の力」が弱いから誰が主人公かわからない。 三人が揃って舞台に登場することが一度も無かった(?) 二人が逃げ隠れたため兄カルロの「復讐の力」が舞台に充満してしまったの。 アルヴァーロの「歌唱の力」が物語から外れてしまっていたのも理由よ。
背景ではプレツィオジッラがジプシーや兵隊の群衆を、ガァルディアーノ神父が短いけれど心に響く、「対話の力」で巧くまとめていた。
レオノーラが息絶える終幕のアルヴァーロの心は読めなかった。 でも上記の式の強さがアルヴァーロを越えて迫ってくるのは、時代を受け入れたヴェルディの「職人の力」かもしれない。
*NNTTオペラ2014シーズン作品
*劇場、http://www.nntt.jac.go.jp/opera/performance/150402_003711.html