■ウィンズロウ・ボーイ

■作:T・ラティガン,翻訳:小川絵梨子,演出:鈴木裕美,出演:小林隆,中村まこと,竹下景子,森川由樹
■新国立劇場・小劇場,2015.4.9-26
■粗筋を読まないで劇場に行ったのですが、これは正解でした。 次男ロニ・ウィンズロウが窃盗容疑で海軍兵学校を退学させられる話です。 家族はロニーの無実を晴らすため行動を起こし裁判に持ち込む・・。
第一次世界大戦前夜、ウィンズロウ家族は夫の年金・兄の大学中退・姉の婚約と破談そして窃盗容疑など暗い話が続いていきます。 でも彼らの社会に向かっていく行動力がその暗さを吹き飛ばす。
そして家族は裁判を仲介して海軍つまり国家と対峙していきます。 一人ひとりの国民の権利を蔑ろには出来ない。 これは国家より先行するものである。
先日「追憶のアリラン」を観ました。 おなじく裁判で無罪になる話です。 「追憶・・」で描き切れなかったことが今回は少なからず言及されています。 それは法や権利、人権や正義の問題です。 時代や背景は異なるのですが、20世紀日本の戦争を題材にした芝居は辿りつけないもどかしさがいつもあります。 日本の戦争を語る時これらの問題は論外だからでしょう。
モートン弁護士が涙した理由を姉キャサリンが尋ねたところで終幕になります。 ウィンズロウ家族に英国人権史をみた舞台でした。
ところで姉や兄、家政婦など周辺をかためる役者たちがよかった。 劇場演劇研修所修了生らしい。 これからが楽しみですね。
*NNTTドラマ2014シーズン作品
*劇場、http://www.nntt.jac.go.jp/play/performance/150401_003732.html