■夜が明けたとしても・・・

■作・演出:大橋泰彦,出演:劇団離風霊船
■スズナリ,2015.4.23-29
■シンメトリーのある古びた商店街が舞台である。 体操場面もそうだが役者達も対称性のある動きが多い。 このシンメトリーは意識しないと見落してしまうが、作品としての美的効果が表れている。 多分これは演出の合理化を狙ったのだろう。
ヒトラー側近のゲーリングを信奉する日本政府関係者が少子高齢化の地方再生を推し進めていく。 ナチズムの指導者原理を若者に適用し、国民の鈍感さを見透かして民族共同体主義へと向かわせる話である。
市職員たちの仕事の進め方やデータ処理、お辞儀や笑顔の作り方など本物にみえてしまった。 市長の不倫もリアルである。 比して商店街場面では笑ってしまった。 
終幕に、指導者原理を一時中断する国家計画暴露のドンデン返しは構造として面白い。 これで純平の行動が真木への復讐だったという気の抜けた話をなんとか持ち直した。 舞台をまとめる責任感が前面にでてしまったようにみえる。 芝居としての謎が残らない。 しかし今の時代、国家と対峙する必要性は届いた。
*チラシ、http://stage.corich.jp/img_stage/l/stage51096_1.jpg?1430164661