■星ノ数ホド

■作:ニック・ペイン,演出:小川絵梨子,出演:鈴木杏,浦井健治
■新国立劇場・小劇場,2104.12.3-21
■日々の行為の裏には他の可能性があった。 時間を戻して幾つかの可能性をやり直す舞台構成です。 例えば脳腫瘍の検査結果が悪かった場合、次に良かった場合をループシリアルに演じます。 
物理学者マリアンヌと養蜂家ローランドの出会・別れ・再会・結婚の話ですが、細かな反復があるので物語が断片化されてしまいます。 これは逆に「星ノ数ホド」もある可能性が一つ一つ寄せ集められ人生を作り出していることを意識させてくれます。 この作品は一種の哲学というか宗教観のようなものを描こうとしたのではないでしょうか? 
しかし舞台ではこれを現代科学に繋げようとします。 紐理論も一つの可能性とみるべきでしょう。 そしてマリアンヌは終始厳しい口調で自己と戦っているかのような姿です。 硬いリズムが舞台を覆っています。 この二つが「可能性の一つである人生の不思議さを感じさせる舞台」と拮抗して全体が中和してしまった。 面白い構造の作品でしたが、演出家や俳優がどのような芝居を作ろうとしていたのか観ていて悩みました。
*NNTTドラマ2014シーズン作品
*劇場、http://www.nntt.jac.go.jp/play/performance/16_003731.html