■トロイアの女  ■からたち日記由来

■トロイアの女
■原作:エウリピデス,演出:鈴木忠志,劇団:SCOT
■吉祥寺シアタ,2014.12.19-26
■2作品を上演。 でも最初の「トロイアの女」はよくわからなかったわ。 途中に鈴木忠志のトークがあり、その間に配られたパンフレットを読んでどうして分からなかったのか?が分かったの。
そこには、王妃は苦難の人生を想いながら自分の境遇を嘆いているだけで「ストーリが希薄」そして「劇が描かれていない」ようにみえると書いてある。 物語が遠のいた理由かもしれない。 これで侍たちの動きや王妃の喋り方などが大げさになっていたのね。 間接的にギリシア兵やトロイア人などのグループ間や、老婆や神像・廃車男の役者間の結びつきが弱められ舞台が散らばってしまった。 この弱さがわからない原因よ。 アンドロマケ=花売り娘の存在は光っていたわ。
「敗戦後の予想のつかない人生を想像する状況ほど劇的なものはない」と言っているけど、舞台の劇的さも想像するしかない作品のようね。 でも最後に高橋康也の解説を読んで全体が見えてきた。
■からたち日記由来
■作:鹿沢信夫,演出:鈴木忠志,劇団:SCOT
■発狂したチンドン屋の母親が講談、それは伯爵令嬢鎌子とお抱え運転手倉持の心中未遂事件を語るストーリーなの。 母を介護している息子と伯父が横でハーモニカとクラリネットを持って伴奏や歌唱を担当。
「人は誰でも心の片隅に、からたち日記を持っている・・」。 母親の力強い講談が心の奥にしまっていた歌を見事に舞台へ現前させていたわ。 令嬢の一度でいいから愛したいという心情が伝わってきたの。 伴奏は大正時代の風景を広げていた。 物語が凝縮された素晴らしい舞台だった。
でも終幕、母親の口調が激し過ぎたようね。 これが島倉千代子に上手く繋がらなかった。 内に秘めるように終わらせればパーフェクトよ。
「こころで好きと 叫んでも 口では言えず ただあの人と・・」
*CoRich、https://stage.corich.jp/stage/60516