■コリオレイナス

■作:W・シェイクスピア,演出:J・ローク,出演:T・ヒドルストン,M・ゲイティス,P・D・ジャージ
■六本木東宝シネマズ,2014.10.31-11.16
■劇場はドンマー・ウェアハウス。 昔はバナナ倉庫だったらしい。 三方が客席で舞台は椅子だけである。 壁はレンガのようだ。 控えの役者が舞台後方に座っている。 映像のショットが短くて戸惑う。 小さな舞台だから余計に画面切替がはやく感じた。
コリオレイナスはローマの英雄戦士である。 彼は政治の世界に入っていくのだが上手くいかず追放されてしまう。 この恨みからローマに復讐するが家族の嘆願で諦める。 このために彼は殺されてしまう。
コリオレイナス役のトム・ヒドルストンは眼に不安が感じられて複雑な英雄にみえる。 この不安が復讐を企てそして諦める予言を表しているようだ。 しかしこれほどの行動を起こしているのに家族の願いだけで復讐を諦めるコリオレイナスの落差は尋常ではない。 
前半は護民官設置や執政官選挙など政治構造の強さが目立ったが、後半のコリオレイナス一人にローマが振り回される姿は惨めである。 作者も後半は背景に手が回らなくなったのだろう。
前回の「ハムレット」と同じくスピードがあり気持ちがいい。 しかも思った以上に科白量があった。 そして戦士の登場が多く肉体が前面にでていた。 この科白と肉体の量の絡み合いが作品の面白さの一つにみえる。
*NTLナショナル・シアター・ライブ2014年作品
*作品サイト、http://www.ntlive.jp/