■驚愕の谷

■作・演出:P・ブルック、M=E・エティエンヌ
■東京芸術劇場・プレイハウス、2014.11.3-6
http://stage.corich.jp/img_stage/l/stage46615_1.jpg?1415267271
■客席6列迄を取り払い観客に近づけ絨毯と椅子だけの簡素なブルック流舞台。 観客を舞台に招くから緊張感もあったわ。 それも劇中劇の中で仕組むから面白い。 役者は自然体のようだけど計算され尽している動きをするの。 絵を描く、火をつけるなどの動作は唸ってしまうわね。  
今回は脳が話題、もっと絞ると共感覚の話なの。 これを拡張して共感覚を記憶に結びつける主人公達が登場。 でもこのような話を芝居に取り込むのは難しい。 それは科学そのものに意識が向いてしまうから。 これでブルック流感動が少なかったのね。
現代科学は身体性を疎かにしているという台詞が終幕にあるけど、言語的機能主義的脳科学を論じているにも関わらず二元論に逃げてしまったのは脳と直接対決した結果よ。 この作品は映画「P・Bの世界一受けたいお稽古」(*1)の実践版にもみえる。
ブルックを観るといつも思うことだけど、サッパリ感ある舞台は澄み切った青空の中にいる感じがするの。 観後感の気持ちよさは抜群ね。 
*1、http://twsgny.blogspot.com/2014/09/blog-post_22.html