■ご臨終

■作:モーリス・パニッチ,演出:ノゾエ征爾,出演:温水洋一,江波杏子
■新国立劇場・小劇場,2014.11.5-24
■両側に客席を挟んでの舞台です。 この劇場では時々見られる構造ですね。 チラシも見ないで行ったので驚きの連続です。 なんと登場人物は二人だけ! 伯母と甥です。 しかも伯母の台詞は確か4~5箇所くらいしかありません。 それも数秒の短さです。
甥の一人芝居のようですが、科白が成立しなくても二人は心のどこかで通じ合っているのが分かります。 後半に再び驚きが来ます。 甥は住所を間違えて隣の家を訪問していたのです!?
途中でわかったのですが場所は日本ではない。 ハロウィーンやクリスマスを祝っているしドイツの歌から北ヨーロッパでしょう。 これで日本の臨終や葬式から離れて物語を自由にみることができました。
題名もパッとしないので準備無しで劇場に行ったことも幸いでした。 人との出会いというものを感動を持って面白悲しく、しかも<出会いの始まりの姿>が描かれていたからです。
二人芝居なのに一人は喋らない。 この不均衡をフェードアウトで巧みに場面を終わらせたり、別れを言葉で出会いを身体で同時表現しているなど構造的に面白い作品でした。 後半、部屋の位置を反対にしたのも客へのサービス以上のものがありました。
*チラシ、http://stage.corich.jp/img_stage/l/stage46423_1.jpg?1416128148