■水の戯れ

■作・出演:岩松了,出演:光石研,菊池亜希子,近藤公園,瑛蓮,根本宗子,岩松了,池田成志
■本多劇場,2014.11.1-16
■遅刻した気分です。 物語が進んでしまって取り残されたような感覚が続きます。 彼らには深い関係がありそうですがそれが明かされない。 その中で春樹は明子から一緒になりたいことを告げられます。 これが一幕のクライマックスでしょう。 生真面目な春樹と内心がみえない明子の告白だけで舞台は持ち堪えています。
徐々に過去がみえてきます。 明子の前夫つまり春樹の弟は自殺したこと、春樹は兄大造や弟?の増山と明子との関係に猜疑心を持っていることをです。 二幕はこの疑いが深まっていきます。
春樹は猜疑に取り付かれているので心が読めますが、明子は苦しんでいるのはわかりますが難しい。 これは明子の台詞が熟れていないのが原因ではないでしょうか? しかも明子の態度や喋り方が突っ樫貪のため更に混乱します。 そして明子の心の状況が見えないまま悲劇が訪れます。
いつもの青春時代物とは一味違う面白さがありました。 チェーホフを意識したとHPに書いてありましたが、私は漱石の作品を思い出してしまいました。 ところで演出家が明子の会社上司として一度だけ登場します。 「世間では信用が大事だ」と結婚指輪をチラつかせながら厭味を言うところは現実に揺り戻されますね。
明子の告白に喜んだ春樹と大造が沢山の服布を放り出した1幕終わり、春樹が明子を銃で撃って花瓶の花が飛び散った終幕は静的舞台風景を一瞬反転させて絵になっていました。 また警官増山の趣味、大造の妻林鈴の大陸風性格、若い女菜摘のキッチュな姿や行動が舞台を巧く活気付けていました。
*M&Oplaysサイト、http://mo-plays.com/mizu/