■ハルナガニ

作:藤野千夜,脚本:木皿泉,演出:内藤裕敬,出演:薬師丸ひろ子,細田善彦,菊池亜希子,菅原大吉,渡辺いっけい
■シアタートラム,2014.4.7-27
粗削りの舞台である。 役者の動きは雑で、台詞も素人が喋っているような場面がある。 演技なのか地なのかわからない。 このギクシャク感が無調音楽のようになり次第にシュールな舞台が現れてくる。 ストーリーもこのシュール感を助長している。
夫は死んだ妻が見えず、妻は死んだ夫が見えない。 訪ねてくる女子会社員には夫が見え、同じく友人は妻しかみえない。 息子は全てが見える。 5人全員がほぼ舞台に居るのでややっこしい。 訪問者二人は科白が無くてもダイニングに座っている。
夫と妻はお互い見えないのに意識した動きを取り始める。 結局は誰が死者だか分からない。 生と死が入混じってしまう。
芝居が持っているカタルシスを得られた。 死者との出会いで生と死の絶対距離を取り払い、日常生活を可笑しく幸せにそれでいてどうしようもないという諦観も匂わせていたからである。
*劇場サイト、http://www2.setagaya-pt.jp/theater_info/2014/04/post_359.html