■演劇1、演劇2

監督:想田和弘,出演:平田オリザ,青年団
■シアターイメージフォーラム,2012.10.20-11.25
1.ダメな役者を吊るしあげる時、演技・人格・生い立ち・家族の素性にまで遡る某演出家もいるようですが、オリザの「ダメだし」は静かな厳しさが感じられます。 小津安二郎の駄目出しを真似ているわけではなく、両者の方法論が結果として一致したのです
2.入団面接で演出希望者が口ごもっている場面がありました。 希望が叶えられても役者の投票で可否が決まるのですね。 つまり俳優からの支持が得られなければ演出家も続けられないということです。 河原乞食集団の厳しさが表れています。
3.オズ映画の感動は喜怒哀楽から来るのではなく映画芸術そのものからきます。 オリザ演劇と近いですね。 原節子の写真が壁に貼ってありました。 小津の写真じゃサマにならない。 だから代わりに原節子を貼ります。 これは皆がしていることです。
4.劇団員がR・ブレッソンの議論をする場面があります。 ブレッソンもオズと同じ方向です。 演技時に役者の脳味噌がカラッポになるほど、ある種の感動が訪れるものです。 ロボット演劇に進むのは必然でしょう。 その先に劇的感動が必ず有るからです。
5.アゴラ劇場の乱雑した事務室や事務処理を初めてみました。 興味ある場面ですね。 高校授業風景やフランス公演もです。 「新国立劇場はなにもしていない!」と彼は言い切っています。 オリザは文化活動にも実績があるから言えるセリフです。
*作品サイト、http://engeki12.com/