■傘月

脚本・演出:下西啓正、出演:乞局
新宿・SPACE雑遊、2012.10.10-17
日常生活を少しばかりこじ開けるような議論がセリフに沢山入っていて面白いですね。 しかも災害場面で苛立っているのか棘のある対話が続きます。 このような台詞を書きたいので背景に災害を持ってきたのでしょうか?
12場面の作りになっていて物語が非連続に並行して進んでいきます。 構成は面白く役者たちも力が入っています。 干魃や瓦礫処理、大洪水など自然災害を背景として物語は一つにまとまっていくかにみえます。
被災地住民とボランティアとの人間関係が印象に残りました。 でもストーリーがまとまりきれなかった中途半端な感は免れません。 多分チラシにも書いてあった手書台詞の醍醐味なのでしょう。
他人との付合いの少ない現代人は舞台の科白に興味が出ます。 しかし日常会話に小暴力を取り入れた口論の多いセリフは観ていて疲れ飽きます。 観客集中度が維持できるくらいの上演時間に縮めれば観後の良さが高まるのではないでしょうか。