■曼荼羅の宇宙

演出・振付:森山開次,音楽:高木正勝
新国立劇場・小劇場,2012.10.17-21
忍者がダンスをしているようだわ。 でも、もっと根源的な面白さがあった。 日本的というかモンスーン的農耕的振付が詰まっていて遠い日本を思い浮かべることができたからよ。 題名「書」を身体表現するとこのような振付になるのかしら?
波・雨・狼・馬・鳥・虫の音を背景にダンサー同士のコミュニケーションも同じ懐かしさが表れていたわ。 第一部終幕近く曼荼羅が投影されたけど舞台の流れには結びつかなかった。 そして柳本の指の先端に切れがなかった。
次の第二部「虚空」は森山のソロ。 5メートル四方の小さな舞台に力を凝縮して、平安時代の空の大日如来と鎌倉時代の力強い仁王像を同時に踊っているよう。 ピアノがリズムを持ってきた中盤の踊りは素晴らしいの一言。
森山と5人のダンサーそしてピアノの高木。 この7人で曼荼羅の世界を描こうとしたけどできなかった。 というより曼荼羅の絶対的世界から飛び出してしまうしなやかさがあったわ。 曼荼羅のその先へ行こうよ!と言っていたのね。